2019年01月24日
発熱 -基礎的知識・感染-
Ⅲ.正常体温・発熱
検温が開始されたのは1850年代.その後から正常体温や発熱に関する議論は1世紀半にわたり続き,これらの定義は未だ統一されていない.
・Wunderlich(1860~70)
健常人が平均腋窩温で37.0℃(36.2℃~37.5℃)とし,発熱を38.0℃以上とした.
・Mackowiak(1992)
健常人の正常体温を平均口腔温で36.8℃(36.4℃~37.2℃),発熱を午前中で37.2℃,午後は37.7℃とした.
Ⅳ.潜在的感染症患者
発熱:「病原性のある微生物または無機物の侵入により起こる宿主の防御反応」
高体温:「宿主の免疫,内分泌,神経系,生理機能の変化により急性期反応物質が増加し,サイトカインを介して発現される徴候」発熱患者には宿主の感染に対する反応である徴候(末梢徴候・全身徴候 表1)
がみられる.これらは体温上昇の程度に関わらず,ほとんどの発熱患者に存在する
ついで,感染の増悪に伴い臓器特異症状が出現する.この臓器特異症状は呼吸器感染症の場合,咳嗽・喀痰・咽頭痛・呼吸困難感,消化管感染症の場合,悪心・嘔吐・腹痛・下痢といった臓器に特異的な症状であり,感染部位の同定に役立つ.
臓器特異症状が明らかでない,いわゆる原因不明の発熱患者のうち潜在的細菌感染患者はどのくらいの頻度で存在し,どのような指標を基に存在を判断しているのか
・Mellors
救急外来を受診した成人発熱患者880例を調査.このうち135例は臓器特異症状がなく発熱の原因が特定できなかった.追跡調査で,この135例のうち48例(35.6%)に潜在的細菌感染症が存在していた.また,Mellorsらは潜在的細菌感染症の存在を推測する5つの指標(表2)
を提示している.
この指標から潜在的細菌感染症が存在していた割合は,
指標数 0個:5%
1個:33%
2個:39%
3個:55%